ANALYSIS

ウクライナが今すぐF16戦闘機を必要とする理由

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リトアニア上空でのNATO訓練に参加するポルトガル空軍のF16戦闘機/Petras Malukas/AFP/Getty Images

リトアニア上空でのNATO訓練に参加するポルトガル空軍のF16戦闘機/Petras Malukas/AFP/Getty Images

ウクライナ・ドニプロ(CNN) 前線の街オリヒウ。至る所に空いた穴の深さと密度は、ウクライナがF16戦闘機を喫緊に必要とする理由をまざまざと示す。

周辺地域に集結したウクライナの部隊は、自分たちの進軍を待ち構える敵に向かって地雷原を突き進むという困難な任務を背負っている。

だが、最大の障害が近づく音を聞いた時には、すでに手遅れになっている場合が多い。ロシア軍機は防空兵器の射程外から滑空する500キロ弾を発射し、ウクライナの陣地を意のままに破壊する。時には20分間で20発がオリヒウに撃ち込まれることもある。

ウクライナのレーダーシステムは警告を発し、飛来するミサイルの短く不吉な轟音(ごうおん)も聞こえる。だが、攻撃目標は多くの場合、前触れなく消し去られる。

ウクライナがF16の喫緊の必要性を訴えるとき、そこにはウクライナ兵がロシアの航空優勢を前に日々命を落としているという現実がある。欧米の約束にもかかわらず、まだ訓練すら始まっていない(訳注:ウクライナのレズニコウ国防相は19日、F16の操縦士訓練が始まったことを明らかにした)。ウクライナは18日、訓練が完了次第、F16の供与を承認するとの米国の発表を歓迎したが、機体の受け取りが来年になる可能性が高いことに変わりはない。

ウクライナの反攻の遅さを批判する評論家は、昨年ハルキウやヘルソンでウクライナの電撃的な進軍を前にロシアの陣地が総崩れになった経験から、軍事のあらゆる基本的な教えを覆す超人的なウクライナ兵の姿を思い描いているようだ。1年半前にはほぼ無力と思われていたウクライナ軍はいまや、北大西洋条約機構(NATO)の部隊が試みさえしない芸当をやってのけるものと想定されている。

NATOの軍隊であれば、高性能装甲車も地雷除去装置もなく、航空優勢も練度の高い部隊も確保できていない状況で、南部ザポリージャ前線の地雷原や防衛線に突っ込むことなど考えないだろう。だが、どういうわけか欧米諸国はぜいたくにも、ウクライナが急きょ新装備の訓練を受けた若い動員兵主体のロシア軍を圧倒できず、秋までに被占領地を制圧するめども立たない状況に苛立ちを募らせている。

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