ウクライナ、汚職発覚で軍の医療委員会を調査 大統領が発表
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は30日夜の演説で、軍の医療委員会に対する調査が進行中だと明らかにした。この委員会を巡っては、一部の委員が賄賂を受け取り、ウクライナ国民の徴兵逃れを助けていたことが暴露されている。
演説の中でゼレンスキー氏は、全国に設置されている医療委員会を対象に調査が行われていると述べた。
同氏によれば、昨年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、軍役に就く年齢に達した男性数千人が徴兵を回避し、ウクライナ国外に逃れている可能性がある。彼らは軍の医療委員会への賄賂と引き替えに「不合理な判断」を下してもらい、兵役を逃れているという。
29日にはウクライナ保安局が、キーウ州の軍医療委員会の責任者に対する調査を進めていると報告。この責任者には、50人以上の男性の徴兵逃れを許した疑いがかかっている。男性らから賄賂を受け取り、関連する書類に各自の健康に問題があるとの虚偽の記載を行っていたとみられる。
保安局によると、この責任者と他の5人は、徴兵逃れに加担する犯罪計画の一端を担っていたという。
ゼレンスキー氏は賄賂を受け取った人物について、全員が法の下で裁かれると述べた。
その上で、医療委員会の判断により徴兵されなかった国民の数が昨年2月以降10倍に増加した州が複数あると指摘。「これらの判断が賄賂によって下されたものであるのは火を見るより明らかだ」と強調した。
医療委員会のスタッフに対しては刑事訴追の手続きを進める一方、明らかに疑わしい判断を理由に出国した人々のリストについても別途分析を行うことになるという。
ゼレンスキー氏はまた、国内メディアとの27日のインタビューで、戦時における汚職を国家への反逆と同等に扱う意向を表明。議会に対しその件に関する提案を「週内にも」行うつもりだと明らかにしていた。