ナゴルノ・カラバフ住民、約半数が避難　１週間で５万人がアルメニアへ

（ＣＮＮ） アゼルバイジャンとアルメニアの係争地だったナゴルノ・カラバフが、アゼルバイジャンの攻撃を受けて降伏してから１週間がたち、住民の半数近くがアルメニアに避難した。

アルメニア政府によると、ナゴルノ・カラバフとアルメニアを結ぶ唯一の道路の封鎖をアゼルバイジャンが１０カ月ぶりに解除したことを受け、２７日午前までにナゴルノ・カラバフの住民５万人以上（子ども１万７０００人を含む）が避難した。

多くの住民が車でアルメニアに避難した/Vasily Krestyaninov/AP

ナゴルノ・カラバフからの避難でアルメニアへの道路は渋滞に見舞われた/Vasily Krestyaninov/AP

ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土内にありながら何十年もの間自治を続けていたが、アゼルバイジャンが１週間前に奪還を宣言。カラバフのアルメニア系住民は、アゼルバイジャン国籍を受け入れれば同地に残ることができるとされているが、住民の多くはアゼルバイジャンに統治されることよりも、自宅を残して避難することを選んだ。

アルメニアのニコル・パシニャン首相は２４日の演説で、「ナゴルノ・カラバフの姉妹兄弟を歓迎する」と述べていた。

トラックに乗ってアルメニア南東部コルニゾールに向かった避難民/rakli Gedenidze/Reuters

しかし人口２８０万人のアルメニアが、ナゴルノ・カラバフから到着する最大１２万人をどのような形で受け入れるのかは分かっていない。

砲撃を受けて損傷したアパート＝１９日、ナゴルノ・カラバフのステパナケルト/Siranush Sargsyan/AP

２７日午前までに国境を越えた５万人あまりは、国境の町ゴリスとコルニゾールに設置された仮設の難民キャンプに到着した。アルメニアを訪れた米国際開発庁（ＵＳＡＩＤ）のサマンサ・パワー長官は、到着した人たちについて「重度の栄養不良」に苦しんでいると指摘した。

ナゴルノ・カラバフへの別れのメッセージを記した住民の壁/Nonna Poghosyan

ナゴルノ・カラバフは２０２２年１２月以来、封鎖状態にあった。アゼルバイジャンを後ろ盾とする勢力が、ナゴルノ・カラバフとアルメニアを結ぶ唯一の道路「ラチン回廊」に軍事検問所を設置したことで、食料や燃料、医薬品の輸送が妨げられ、住民が飢えにさらされる懸念が強まっていた。