深刻化するガザの人道状況 国連が「秩序崩壊」の兆しを警告
PRSCによると、ガザ市では29日、市内で2番目の規模を持つアルクッズ病院の施設が、イスラエル軍の空爆で大きな被害を受けた。
アルクッズ病院には数百人の患者が入院しているほか、約1万2000人の住民が避難している。
PRSCは、イスラエル軍が同病院の医療スタッフや避難民、患者を退去させるために、隣接する建物を狙ったとの見方を示した。
同病院の責任者がCNNに語ったところによると、29日夕方までに病院周辺が3回にわたって攻撃を受けた。
PRSCは29日午前、イスラエルから警告を受け、同病院からただちに避難するよう指示されたと述べていた。これに対して世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、患者たちの命を危険にさらすことなく避難させることは不可能だと指摘した。
イスラエル軍の報道官はCNNの取材に対し、同病院には3週間前から繰り返し警告してきたと主張した。
国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は29日、CNNとのインタビューで、民間施設を攻撃する決定を下した責任者は正当な理由を示す必要があると強調。住民への人道支援を妨害する行為は犯罪だとも指摘した。
イスラエルはICCの加盟国ではないが、国連には加盟しているため、国連安全保障理事会がイスラエルの行動をICCに付託することは可能だ。
人質解放に向けた交渉
ガザで拘束されている人質については、イスラエルが正確な人数を確認中。イスラエル軍は28日までに、拘束中とみられる230人の家族に通知したと発表した。
ハマスの指導者シンワル氏は28日の記者会見で、イスラエルで収監されているパレスチナ人約6630人の釈放と引き換えに、人質全員をただちに解放する交渉を始める用意があると表明した。
双方の対象人数に大きな開きがあるものの、家族らの代表者は同日の会見で、このような交渉を受け入れる意思があることをネタニヤフ首相に伝えたと発表した。