ゼレンスキー氏、トランプ氏をウクライナに招待 「和平もたらすのは不可能」
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領がこのほど、米国のトランプ前大統領を自国に招待した。トランプ氏は来年の米大統領選で自身が勝利すれば、ロシアによるウクライナとの戦争を24時間以内に終わらせることができると主張していた。
ゼレンスキー氏は5日放送の米NBCとのインタビューで、トランプ氏の主張を疑問視。同氏をウクライナへ招待し、ロシアの侵攻の規模を本人に直接確かめてもらう考えを示唆した。
その上で、トランプ氏がウクライナを訪問した場合、24分あれば同氏にこの戦争を処理するのは不可能であることを説明できると発言。トランプ氏が和平をもたらせない原因はロシアのプーチン大統領にあるとも指摘した。
ゼレンスキー氏はこの他、今年初めにウクライナを訪問したバイデン米大統領を称賛。実際に現地へ来て初めて理解できる事柄もあるとし、「だからトランプ大統領を招待する」と続けた。
トランプ氏は今年5月、CNNの取材に答え、ロシアが全面侵攻を開始した時点で自身が大統領だったなら、戦争は起きていなかっただろうと発言。自分が大統領に再選されれば、プーチン氏やゼレンスキー氏との会談を通じ、1日で紛争を解決できると語っていた。
ウクライナ軍トップのザルジニー総司令官は先週、英誌「エコノミスト」への長めの寄稿文で国内の戦況が膠着(こうちゃく)状態にあると説明。「第1次世界大戦がそうだったように、技術的な進歩の影響で我々は手詰まり状態に陥っている」と述べていた。
NBCからザルジニー氏の見立てを受け入れるかと問われたゼレンスキー氏は、困難な戦況を認めつつも、戦争が「膠着状態」に達しているとは思わないと回答。主導権はウクライナ側が握っていると主張し、黒海やクリミア半島での自軍の戦果に言及した。
またウクライナによるロシアとの戦闘は、米国の国家安全保障にも関連すると強調した。米国からの支援が縮小すれば、ロシアとの軍事衝突は欧州地域で一段と広範囲に拡大し、最終的に米軍兵士がこれに巻き込まれる可能性もあると述べた。
さらにロシアと和平協議を行う考えについてはこれを否定。「テロリストと話をする用意はない。彼らの言葉には何の意味もないからだ」と一蹴した。