香港民主活動家の周庭氏、カナダ移住 監視生活の恐怖を回想

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21年6月、刑期を終えて釈放された周庭(アグネス・チョウ)氏/Geovien So/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

21年6月、刑期を終えて釈放された周庭(アグネス・チョウ)氏/Geovien So/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

香港(CNN) 香港の民主活動家として知られた周庭(アグネス・チョウ)氏が3日、現在カナダに住んでいることを明らかにした。周氏は香港で国家の安全を危険にさらした罪に問われているが、保釈条件に従って香港に戻るつもりはないとしている。

学生活動家で政治家だった周氏は、2年以上の沈黙を破って27歳の誕生日にSNSに投稿。9月に香港を離れてカナダへ留学していると発表した。12月中に香港の警察への出頭を義務付けられているが、香港には戻らないと述べ、「多分、もう一生戻らない」とインスタグラムに書き込んだ。

周氏は香港で2019年の大規模反政府デモに参加したことで罪に問われ、20年に禁錮10カ月を言い渡された。21年に釈放されると「外国の勢力と結託して国家の安全を危険にさらした」とする別件容疑で警察の捜査を受け、保釈されていた。

以来、パスポートは没収され、定期的に警察に出頭するよう命じられて、目立った行動は控えていた。

インスタグラムの投稿の中で周氏は、「香港での状況、個人的な身の安全、体と心の健康状態」を考えて逃げることにしたと告白し、常に当局からの圧力にさらされていたと言い添えた。

パスポートが返還されたのは、中国の発展について学ぶ警察主催の本土ツアーに参加することに同意した後だったという。

カナダの大学院への進学は、大学が休みの間は香港に戻って警察に出頭するという条件付きで、香港当局に許可された。

香港警察は4日の声明で周氏の保釈条件違反を「法と秩序をあからさまに乱す無責任な行為」と批判。「帰国せずに『逃亡者』のレッテルを一生貼られる道を選ぶことは慎むよう求める」とした。

周氏は学生だった16年、民主派政党「香港衆志(デモシスト)」を活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、羅冠聡(ネイサン・ロー)の両氏と共に結成した。

同党は20年6月、中国政府が制定した香港国家安全維持法の施行に伴って解体され、周氏は同法の下で拘束された。黄氏は今も服役中で、羅氏は英国で亡命生活を送っている。

インスタグラムの投稿によると、周氏はカナダ留学のためにパスポートを取り戻す条件として、中国本土の深圳に旅行しなければならなかった。

本土では国家治安警察の警官5人に付き添われて中国の発展を誇示する展覧会やIT大手騰訊(テンセント)の本社を見学し、記念写真の撮影に応じるよう求められたと告白。「その間ずっと監視されていると感じた」と振り返っている。

さらに、この旅行を手配してくれたこと、および「母国の偉大な発展」を理解させてくれたことについて、警察への感謝状を書かされたという。

周氏は保釈の条件として、3カ月ごとにパスポート没収の延長通知に署名し、自身の収入や仕事、家族、個人的関係について定期的に警察に報告するよう命じられていた。

「まるで誰かがいつも私に思い出させようとしているようだった。お前はまだ自由を取り戻したわけではなく、今も監視下にある。何もしようとするな、と」

周氏はそう打ち明け、警察に出頭するたびに再逮捕の不安に駆られたと振り返る。

そうした中でうつ、不安障害、心的外傷後ストレス障害と診断され、今年に入って精神状態や体の状態が悪化して、カナダの大学院に留学することを決意した。

「過去数年の間に、私は恐怖からの解放がどれほど貴重かを身をもって体験した」と周氏は記している。

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