香港返還、「真の民主主義の始まり」と習近平氏
(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は1日、香港で「真の民主主義」が始まったのは25年前に英国から中国へ返還されたときだったと主張した。
返還25年を記念する式典で香港の当局者らを前にした基調演説で述べた。その中で「母国への返還後、香港の同胞たちは自らの裁量で自分たちのことを決められるようになった。香港を高度な自治によって管轄した。それこそが、香港における真の民主主義の始まりだった」との見解を示した。
こうしたコメントにもかかわらず、多くの識者が指摘するところによれば香港の民主的権利はこの数年で著しく後退している。
現在、市の立法府に残っている野党の議員は1人もいない。主導的な民主派の人物らはほぼすべて、活動家や政治家を含め、亡命を余儀なくされているか、投獄されている。民主派のメディアは閉鎖に追い込まれたほか、香港国家安全維持法(国安法)の施行に伴って複数の市民社会団体が解散させられた。
演説で習氏は、香港が「高度な自治」を維持し続けているとも主張。「一国二制度」の枠組みの中で約束された通りだとした。この枠組みは、そうした程度の自治を返還後50年間にわたって与えることを念頭に策定された。
「これほど優れたシステムを変える理由は何もない。今後も長期にわたって維持されなくてはならない」(習氏)
また香港の安定と将来の発展は、統治者が「愛国者」であるかどうかにかかっていると強調。上記のシステムを支持する立場であるかが重要だとした。
しかし批判的な声によれば、そうしたシステムはすでに決定的な破綻(はたん)をきたしている。中国政府が広範な取り締まりを市民社会に対して行い、野党議員の逮捕や国安法の施行といった措置に踏み切っているからだ。こうした動きは、民主化を求める2019年の抗議行動を受けて起きたものだ。
習氏は明らかにその時期を念頭に置き、香港が「混乱と暴力に終止符を打った」と述べた。