進歩派の国会議員に禁錮6年の判決、王室への侮辱で タイ
(CNN) タイの裁判所は14日、進歩派の国会議員に対し、ソーシャルメディアへの投稿で王室を侮辱した罪などで禁錮6年の刑を言い渡した。人権擁護団体のTLHRが明らかにした。
野党・前進党のルクチャノック・スリノック議員(29)はタイの刑事裁判所で、不敬罪並びにコンピューター犯罪に関する法律への違反で有罪判決を受けた。ソーシャルメディアプラットフォームのX(旧ツイッター)で行った2020年の2件の投稿が原因だという。
タイの不敬罪法は世界で最も厳格な部類に入り、国王や王妃、その後継者を批判した場合はそれぞれの罪に対し最大で禁錮15年の刑を言い渡される可能性がある。これにより、王室について口にすることさえリスクが付いて回る状況となっている。
タイでは近年、若者を中心に改憲や軍の政治的影響力の低減を求める抗議行動が繰り広げられた。抗議内容には王室改革も含まれたことから、不敬罪で百人以上が訴追されている。
スリノック議員の裁判を追跡しているTLHRは問題の投稿について、1件には政府の新型コロナワクチン調達への批判が盛り込まれていたと説明。ある製薬会社を国王と結びつける記述も含まれていたという。
もう1件は20年の抗議行動の画像に対するリツイートで、添えられたメッセージが裁判所から反王室と見なされた。
TLHRによれば、スリノック議員は上訴する間保釈が認められた。法廷を後にした同議員は、自身のフェイスブックページへの投稿で、国会での仕事に戻ると明らかにした。また「112人の被告全員に保釈が認められるよう声を上げたい」と書き込んだ。
スリノック議員は23年に政界入りする前、有力な活動家として頭角を現した。当時は14年のクーデターで実権を握ったプラユット前首相への厳しい批判で知られた。
同議員の所属する前進党は5月の総選挙で最も多くの票を獲得したが、強力な保守派の既得権益層によって政権樹立を阻まれていた。