金正恩氏、統一記念塔の撤去を表明 「目障り」の表現も
ソウル(CNN) 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は15日、最高人民会議(国会に相当)で演説し、南北統一への努力を象徴する「祖国統一三大憲章記念塔」を撤去すると表明した。
記念塔は2001年、父の故金正日(キムジョンイル)氏が平壌近郊に建設した。9階建ての高さがある。
朝鮮中央通信(KCNA)によると、正恩氏は演説でこれを「目障り」と切り捨て、再統一や和解、同胞といった概念を北朝鮮史から完全に排除する措置を取るべきだと主張した。
正恩氏は新年のあいさつで韓国への融和政策を否定し、極超音速ミサイルの発射実験に成功したと発表するなど、挑発的な姿勢を強めている。
15日の演説では、韓国を「第一の敵対国で不変の主敵」と呼び、協力を推進する機関はすべて廃止するとの方針も示した。
また、北朝鮮は戦争を望んでいないが避けるつもりもないと語り、戦争が起きた場合は朝鮮半島全体を武力で制圧すると宣言した。
専門家は、正恩氏が祖父の金日成氏や正日氏の「平和統一」路線から離れ、力による統一という独自の道を確立しようとしているとの見方を示す。
これに対し、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は16日の閣議で「北朝鮮が挑発するなら、こちらはその何倍もの強さで罰を与える」と述べた。
北朝鮮が海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)を違法と主張しているのは「政治的な挑発行為」だと非難する一方、北朝鮮からの脱出者は歓迎するとの立場を改めて示した。