モスクワ近郊のコンサート会場で襲撃、60人死亡 ISISが犯行声明
(CNN) ロシアの首都モスクワ近郊のコンサート会場が22日、武装集団に襲撃され、少なくとも60人が死亡、145人が病院に搬送された。過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)が犯行声明を出した。
ISIS系のアマク通信が同日、SNSテレグラム上に短い犯行声明を公開した。裏付けとなる証拠は提示しなかった。
事件が起きたのは音楽ホールとショッピングセンターが併設された「クロクス・シティー・ホール」。現場の映像には、大規模施設で火災が発生し、煙が空に立ちのぼる様子が捉えられている。ロシア国営RIAノーボスチ通信は、武装集団が「自動兵器を発射」し、「手投げ弾や焼夷(しょうい)弾を投げた」と報道。襲撃後に「白のルノーで逃走した疑いがある」と伝えた。
国営メディアのロシア24は、会場の屋根が一部崩落したと報じた。
ロシア24によると、襲撃は音楽バンド「ピクニック」の公演開始前に発生した。バンドのマネジャーは国営メディアに対し、出演者にけがはないと語った。
タス通信によると、ロシア検察は「迷彩着姿の正体不明の集団がクロクス・シティー・ホールに侵入し、コンサート開始前に発砲を始めた」としている。
映像には襲撃中の混乱の様子が映っている。広大なホールに銃声が響く中、人々は身を寄せ合って悲鳴を上げ、シートの後ろに隠れている。
モスクワのソビャーニン市長は今回の襲撃を「恐ろしい悲劇」と呼び、「被害者に近しい方に哀悼の意をささげる。事件で被害に遭った全員に必要なすべての支援を提供するよう指示した」と述べた。
クレムリン(ロシア大統領府)によると、プーチン大統領は襲撃について知らされ、現場の対応について最新情報の報告を受け続けているという。
在ロシア米国大使館は今月、「過激派がモスクワで(コンサートを含む)大規模集会を標的にする差し迫った計画があるとの情報を精査している」と述べ、米国人に大勢の集まる場を避けるよう警告していた。
ロシアとの戦争が2年あまり続くウクライナは、今回の襲撃に対する一切の関与を否定した。