デモ支援のラップ歌手に死刑判決 イラン
(CNN) イラン政府への抗議デモを支援したとして逮捕され、収監されているラップ歌手のトゥーマジ・サレヒ氏(32)が死刑を言い渡された。サレヒ氏の弁護士が24日、明らかにした。
同国の改革派新聞「シャルグ」などによると、中部イスファハンの裁判所は23日、最高裁の判決を破棄して一審の判決を支持し、サレヒ氏に最高刑の死刑を言い渡した。
サレヒ氏は昨年、禁錮6年3カ月の刑を言い渡されていた。国営メディアによると、サレヒ氏が再び上訴すれば、減刑される可能性があるという。
サレヒ氏は自作の楽曲の歌詞やソーシャルメディアで政府を批判してきた。
同国では2022年に、髪を隠す布「ヒジャブ」の着け方が不適切だとして逮捕されたクルド系女性の死をきっかけに、抗議デモが全土に広がった。サレヒ氏はインターネットや自作の歌を通してデモへの支持を表明し、同年10月に逮捕された。翌年釈放されたが、その後すぐに再逮捕された。
国連の専門家は、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が公開した声明で、サレヒ氏は拷問を受け、独房に252日収容されたと映像で明らかにした後に再逮捕されたと指摘した。
同国では、クルド系イラン人のラップ歌手、サマン・ヤシン氏も22年の抗議デモ時に逮捕された。クルド系人権団体「Hengaw」によると、テヘランの裁判所はヤシン氏に禁錮5年を言い渡した。
米国のイラン担当特使の事務所はX(旧ツイッター)への投稿で、2人への判決を非難し、即時釈放を求めた。また「イラン政権が自国民を残虐に虐待し、人権を無視し、国民が求めている民主化を恐れていることが示されている」とも指摘した。