生後10カ月の乳児がポリオ感染、ガザで25年ぶり
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区の保健当局は16日、ガザの医師が25年ぶりにポリオの症例を確認したと明らかにした。国際的な支援機関はワクチン接種を進めるための戦闘休止を求めている。
保健当局によると、ガザ地区中部のデイルアルバラで、生後10カ月の子どもからポリオウイルスの痕跡が見つかった。この乳児はポリオの予防接種を受けていなかった。
これより前、国連児童基金(ユニセフ)はハンユニスとデイルアルバラの環境サンプルから7月にポリオウイルスが検出され、子ども3人の便のサンプルが検査のためヨルダンに送られたと明らかにしていた。
ポリオは感染力が強い病気で、主に5歳未満の子どもが罹患(りかん)する。神経系に作用し、極端な例ではまひや死を引き起こす。
先進国の大半で撲滅されたポリオの再燃は、昨年10月からイスラエルの爆撃にさらされて暮らすガザ住民200万人の苦境を浮き彫りにしている。多くの住民は食料や医薬品、きれいな水が欠乏しており、人口の最大9割が住む場所を追われている状況だ。
当局によると、昨年10月7日の攻撃を受けてイスラエルがイスラム組織ハマスに戦闘を仕掛けて以降、ガザでは4万人のパレスチナ人が死亡した。一方、イスラエル政府によると、ハマスの攻撃でイスラエル人1200人あまりが死亡、250人が人質に取られた。
保健省はガザの10歳未満の子どもを対象に、ユニセフと共同でワクチン接種を行う方針。100万回分を超えるワクチンが入手可能だという。
ユニセフは16日の声明で、今月と来月にガザ各地で2回のワクチン摂取を開始すると明らかにし、子ども64万人以上が対象になると付け加えた。
ただ、ユニセフはポリオワクチン接種を効果的に進めるには戦闘休止が必要になると訴え、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)や世界保健機関(WHO)と共に戦闘の停止を呼びかけている。