(CNN) ウクライナに供与された米国製のF16戦闘機が26日に墜落し、操縦していたウクライナ軍のパイロット1人が死亡した。同軍の情報筋が29日にCNNに明らかにした。同軍はパイロットによるミスが事故の原因ではないと考えているという。
情報筋によると、「ムーンフィッシュ」というコールサインを持つパイロットのオレクシー・メス氏は、ロシアの攻撃を撃退している最中に墜落死した。遺体は29日に埋葬された。
現在、事故の調査が行われており、国外の専門家も原因究明に加わる見通しという。
メス氏の死亡はウクライナにとって大きな打撃となる。西側諸国が供与を約束したF16戦闘機の第1陣が今月初めにウクライナに到着したばかりで、メス氏は同戦闘機の操縦の訓練を受けた数少ないパイロットの一人だった。
同国のゼレンスキー大統領は27日、ウクライナ空軍が前日にロシア軍のミサイルやドローンをF16で破壊したと明らかにし、戦闘でのF16の使用を初めて確認した。
F16に関しては、ウクライナはロシアによる全面侵攻が始まった直後から西側諸国に供与を要望していたが、米国を含む関係国は躊躇(ちゅうちょ)し、紆余(うよ)曲折を経て今夏ようやくウクライナに到着した。ゼレンスキー氏は供与に至るまでに「何百回もの会合や交渉を持った」ことを明らかにしている。
ウクライナ空軍のパイロットらへの操縦訓練は昨年秋から米国で始まった。一通り操縦できるようになるには数年かかることもあるが、メス氏らは6カ月で訓練を終えなければならなかった。
F16は地上部隊への上空からの支援を提供できるほか、地上の目標に対する攻撃、敵戦闘機への対応、ミサイルの迎撃も行える。