ロシア「影の船団」のタンカー、バルト海で漂流 ドイツがえい航へ
(CNN) バルト海で漂流しているロシアの石油タンカーをめぐり、ドイツが、このタンカーを近くの島にえい航しようとしている。ドイツはタンカーについて、ロシア政府がウクライナでの戦争のために資金を調達するのに使っている「影の船団」の一部だとみている。
ドイツ当局によれば、パナマ国旗を掲げた全長274メートルのタンカーは10日、ドイツ・リューゲン島の近くで動力を失った。タンカーはロシアからの石油約10万トンを積載しているとみられる。11日まで、3隻のタグボートがタンカーをけん引しようと作業を続けている。
船舶の位置を追跡するウェブサイト「マリントラフィック」によれば、タンカーはロシアを出発し、エジプトに向かっていた。
ドイツ当局によれば、タグボートがタンカーをリューゲン島の港町ザスニッツにえい航しようとしているものの、荒天のため作業が難航している。
ドイツのベアボック外相は、老朽化した石油タンカーは、ロシアが欧州の安全保障にもたらす危険のもう一つの事例だと指摘した。
西側諸国がロシアの石油輸出に対して制裁を継続するなか、ロシアは老朽化した「影の船団」と呼ばれるタンカーを使い世界各地の買い手に石油を届けている。こうしたタンカーのなかには旧ソ連時代のものもある。
ベアボック氏は、さび付いたタンカーを不謹慎にも使用することで、ロシアのプーチン大統領は、制裁を回避するだけでなく、バルト海周辺の観光が停止する危険性を故意に受け入れていると批判した。
クレムリン(ロシア大統領府)は、タンカーの事案について発言していない。ロシアはこれまでも、「影の船団」を利用しているとの批判への対応を拒否してきた。
西側諸国は、ロシアが老朽した船舶に依存していることについて、懸念を強めている。こうしたロシアの船舶は環境破壊や海底ケーブルの損傷にも関与している。