停戦発効のガザ、復興には長く険しい道のり
テルアビブ(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐり停戦合意が発効したが、人道支援の活動家は、停戦は復興への第一歩に過ぎず、最も困難な試練はこれから訪れると注意を促している。
人道支援の活動家や支援機関にとって、復興への道のりは長く険しいものとなりそうだ。今後の課題としては、ガザ北部への接近が依然として難しいことや、貴重な食料を運ぶ国連の輸送トラックを襲う犯罪集団の存在、ガザでの支援物資の配布を担う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律の施行が迫っていることなどが挙げられる。
国連高官によれば、19日には少なくとも630台のトラックがガザに入り、そのうちの300台が北部に向かった。国連によれば、4000台のトラックがガザに入る準備を整えている。食べ物が手に入るかどうかではなく、食べ物を配送する仕組みに障害があることが問題だという。
国連世界食糧計画(WFP)の幹部は先週、CNNの取材に対し、ガザとの境界のエジプト側に支援物資が準備されていると明らかにしていた。支援物資はイスラエル・アシュドッドから徐々に運ばれ、再配布に向けて、現地に到着している。
WFPによれば、3カ月間にわたり100万人を食べさせるだけの十分な食料がガザ境界で待機している。食料の包みや小麦粉、栄養補助食品なども用意されている。
しかし、ガザの一部地域は依然として完全に支援物資が届かない状況となっている。
WFPは、包囲されたガザ北部には2カ月あまりにわたってほとんど食料が届いておらず、冬の寒さと雨によって、人々の生存能力がさらに低下していると警告している。
イスラエル軍の攻撃により破壊された建物のがれきを確認する人々=16日、パレスチナ自治区ガザ地区北部ジャバリア/Omar Al-Qattaa/AFP/Getty Images
イスラエル軍は昨年10月、ガザ北部で軍事侵攻を開始した。イスラム組織ハマスとの間で戦闘が始まってから3度目となる軍事侵攻により、その月の最初の15日間は支援物資が完全に封鎖されたという。イスラエルは再結集したハマスの戦闘員と戦っていると主張している。
昨年10月以降、ガザの一部地域ではゆっくりとだが支援物資が入るようになっていた。しかし、ガザ北部の一部は、停戦合意が発効する前は依然として支援物資が届かない状況が続いていた。
ガザ北部の一部地域に支援物資が届いていない状況とは別に、UNRWAの活動を禁止する法律の施行が約2週間後に迫っている。WFPとUNRWAはそれぞれガザで110万人の支援に携わっており、支援物資の配給においてUNRWAの役割は極めて重要だ。
イスラエルはハマスによるイスラエル奇襲に関与したとしてUNRWA職員の一部を非難。国連の調査によれば、UNRWAの職員9人が奇襲に関与した可能性があったが、それらの職員はすでにUNRWAを離れていた。
イスラエルの国会は昨年、UNRWAの活動を禁止する法案二つを通過させた。一つはUNRWAのイスラエルでの活動を禁止するもの。もう一つはイスラエル当局に対しUNRWAとの接触を禁止するもの。こうした法律によって、UNRWAは、ガザやヨルダン川西岸地区、東エルサレムなど、イスラエルの占領下にある地域での活動が大きく制限されるとみられる。
これらの法律が施行された場合、国連に緊急の対応策があるのかどうかは分かっていない。