ガザ攻撃で国連支援職員死亡、イスラエルが責任認める 「事実無根」の主張から一転
(CNN) パレスチナ自治区ガザの国連施設が3月に攻撃されて国連職員が死傷した問題をめぐり、イスラエル軍が24日、一転して責任を認めた。当初は関与を否定していたが、イスラエルの関与を裏付ける証拠が集まる中で前言を撤回した。
イスラエル軍は、これまでの調査の結果、「死者が出たのは同地で活動していたイスラエル国防軍の戦車による砲撃が原因だったことが示唆されている」と説明した。
国連によると、この攻撃ではガザに援助物資を届けていたブルガリア出身のマリン・マリノフさん(51)が死亡したほか、6人が負傷した。イスラエル軍が2カ月間の停戦を経てガザ攻撃を再開した翌日だった。
イスラエル軍は「建物を攻撃したのは敵が存在すると判断したためであり、国連施設とは認識していなかった」と釈明。「この重大事案を遺憾に思う。引き続き徹底検証を行って教訓を引き出し、再発防止に向けた追加的な対策を検討する」とした。
イスラエル軍は当初、国連施設攻撃への関与を否定。イスラエル戦車による砲撃を指摘した国連に対し、イスラエル外務省は「事実無根の中傷」と一蹴していた。
国連は今回イスラエルが調査で出した結論を歓迎している。事務総長報道官は24日の定例会見で「我々は説明責任を果たす必要がある。この事案だけでなく、他の全ての事案についても説明責任と透明性が求められる」と強調した。
イスラエル軍が援助職員に対する攻撃を否定する声明を発表し、その後反論の余地のない証拠を突き付けられて声明を撤回するのは、この1カ月で2度目だった。数日前には「過ち」が原因で救急車や消防車、国連車両を攻撃して救急隊員など15人を死亡させていたことを認めた。
ガザで続く破壊、血まみれで助け求める子ども
イスラエル軍は24日、ガザ北部ジャバリアの警察本部を攻撃した。現地の救急当局によると、この攻撃で建物が全壊してパレスチナ人10人が殺害された。
イスラエル軍は、イスラム組織ハマスと武装組織「イスラム聖戦」の指令拠点を狙ったとしている。
これとは別に、ガザ市内の集合住宅の建物2棟も攻撃され、市民防衛隊によるとパレスチナ人7人が殺害された。現場からの映像には、建物の屋上で助けを求めて泣き叫ぶ子どもが映っていた。子どもは頭から血を流し、振り上げた手は埃(ほこり)まみれだった。
24日夕、イスラエル軍は、戦車を運転していた兵士が同日ガザ北部の戦闘で殺害されたと発表した。イスラエル兵の死亡は、3月にガザの戦闘を再開して以来2人目だった。この日の戦闘ではほかにも兵士2人が重傷を負った。
同日ガザを訪れたイスラエル軍のエイヤル・ザミール参謀総長は「人質の返還に進展がなければ、我々の活動はさらに激しく大規模な作戦へと拡大する」と語った。
イスラエル軍はハマスに対する圧力を強めるためとしてガザ攻撃を激化させており、ガザ北部の2地区にも避難命令を出した。