財政危機のサウジ、「消費税」を3倍に 原油価格下落と新型コロナが打撃
アブダビ(CNN Business) サウジアラビアが原油価格の下落と新型コロナウイルスの感染拡大に伴う財政危機に対応するため、消費税にあたる付加価値税を現行の5%から15%へと3倍に引き上げることがわかった。
世界最大の石油輸出国のひとつでもあるサウジは国民への給付金の削減なども実施する。付加価値税の引き上げは7月から。
今回の緊縮財政措置は、政府予算の穴を埋めるためのもので、格付け会社ムーディーズによれば、年初に発表された支出削減なども含めると、サウジの年間の経済生産の最大8%に相当する。
サウジはまた6月から原油生産を1日あたり100万バレル削減する。原油価格の下支えに向けた最新の取り組みとなる。サウジはロシアや米国と市場シェアをめぐって争いを続けていたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、原油需要は激減している。
サウジの国営石油会社サウジアラムコによれば、2020年1~3月期の純利益は25%減少した。原油価格の国際指標であるブレント原油価格は1~3月期に約3分の2下落した。
サウジは歳入引き上げの取り組みを進める前は、巨額の社会的支出や軍事費などに対応した予算をまかなうために石油価格が2倍以上になることを必要としていた。サウジのムハンマド皇太子は「ビジョン2030」と名付けた経済の多様化を推進してきたが、歳入不足によってそうした取り組みの再考を余儀なくされる可能性も出てくるかもしれない。