国連安保理、ガザ情勢巡る米提案の決議案を否決 中ロが拒否権発動
(CNN) 国連安全保障理事会は22日、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢を巡り、人質解放と関連して停戦を求める米国提案の決議案を否決した。ロシアと中国が拒否権を行使した。
否決された決議案は、残る人質全員の解放と結びつけて即時かつ持続的な停戦を求める内容。米国政府はこれまで、停戦を呼び掛ける国連決議案に対して3度拒否権を行使している。
国連が採決を行った22日には、カタールで人質解放についての協議が再開。米国のブリンケン国務長官もイスラエルのネタニヤフ首相と会談を行うためイスラエル入りした。ブリンケン氏のイスラエル訪問は停戦に向けた外交努力強化の一環。
米国提案の上記の決議案には11カ国が賛成票を投じたが、拒否権を持つ常任理事国のロシアと中国がこれに反対した。イスラエルのエルダン国連大使は、ガザ地区を実効支配するハマスを非難しない安保理の決定について「汚点であり、絶対に忘れられることはない」と強調した。
一方、決議案に反対したアルジェリアは、提出された文言が「和平への明確なメッセージではなく、さらに多くのパレスチナ市民の殺害につながる内容だった」と述べた。米国は以前、アルジェリアが提案した停戦を求める決議案を拒否している。
今回の決議案には米国がこれまで使用してこなかった「即時停戦」の言葉が盛り込まれていると、中東情勢の専門家であるフランク・ローウェンスタイン氏は指摘する。同氏は2014年、オバマ政権下で米国の特使としてイスラエルとパレスチナの交渉に携わった経歴を持つ。
「即時停戦」の語は、イスラエル支持の姿勢を理由に国際社会からの批判を浴びてきた米国が「孤立化」の解消を図るために用いた公算が大きいとローウェンスタイン氏は分析。これに対しロシアと中国による拒否権の発動は、米国を孤立したままにしようとする「見え透いた試み」だとの認識を示した。