(CNN) 2020年米大統領選の南部ジョージア州での選挙に干渉しようとしたとしてトランプ前大統領と14人の同調者が訴えられた裁判を巡り、批判の渦中にある同州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事は、11月の大統領選前にトランプ氏を裁判にかけるという目標に向け積極的に動く計画だ。担当判事に対し、裁判の日程を早ければ今夏に設定するよう求める意向だとみられる。ウィリス氏の考えに詳しい3人の人物が明らかにした。
ウィリス氏が現状直面する障害を考慮すれば、大胆な動きだといえる。当該の裁判は過去2カ月間にわたり頓挫。同氏の私生活にまつわる恥ずべき詳細が明らかになったことが原因だった。これを受けて、スコット・マカフィー判事のウィリス氏に対する信頼は損なわれた。また11月の選挙で地区検事への再選を目指すウィリス氏自身も、政治的に弱体化した状態に追い込まれている。
ウィリス氏を巡っては、自ら任命したネーサン・ウェード特別検察官と不倫関係にあった疑惑が浮上。先週のマカフィー判事の判断によりウィリス氏は検事の資格剥奪(はくだつ)を免れたが、ウェード氏は辞任を余儀なくされていた。
マカフィー氏はウェード、ウィリス両氏の意志決定に対する疑問を公言。20日にはトランプ氏及び共同被告らがウィリス氏の訴訟担当継続に異議を申し立てるのを認めた。これは資格剥奪の脅威が依然としてウィリス氏に迫っていることを意味する。
ジョージア州の共和党議員らは、ウィリス氏がウェード氏との関係から金銭的利益を受けていたとする疑惑を引き続き調査している。
ウィリス氏に近い複数の情報筋はCNNの取材に対し、過去2カ月間の動きで裁判に支障が出たことを認めながらも、地区検事のオフィスは事実上裁判への準備を整えていると指摘した。ウィリス氏はかねて、日程が決まれば裁判の準備には30日あれば十分だと発言していた。他方被告側の弁護士は、昨年9月から証拠を検討し、自分たちの弁論の準備をしている。
ウィリス氏が以前求めた裁判の開始日程は今年8月。情報筋によれば、この要請を改めて提起する計画だという。
ウィリス氏による2度目の要請が具体的にいつ行われるのかは不明。フルトン郡の地区検事局は、この件に関してCNNへのコメントを控えている。
ジョージア州ディカーブ郡の地区検事を務めたロバート・ジェームズ氏は、この問題を注視した上でCNNの取材に答え、仮にウィリス氏が大統領選に先駆けて裁判を行えるとしても、陪審を選定する手続きだけで何カ月もかかると指摘。被告が非常に多いこの訴訟ではなおさら多くの時間を要するとの見方を示した。
また公平かつ偏りのない陪審の選定はただでさえ困難にもかかわらず、ウィリス氏の疑惑が取り沙汰されたことでますます至難の業になってしまったとも付け加えた。