機体外部カメラの導入提言、旅客機の地上衝突増え 米NTSB
ワシントン(CNN) 米国家運輸安全委員会(NTSB)は9日までに、空港内で旅客機同士の衝突が増えていることを踏まえ、操縦席から翼先端部分を監視出来る機体外部カメラの設置などを米連邦航空局(FAA)に提言した。
大型旅客機のパイロットが翼先端の位置などを確認出来ない場合を想定し、カメラや他の衝突回避システムの導入を促している。NTSBのデボラ・ハースマン委員長は、車への衝突警報装置の設置は現在行き渡っており、大型旅客機も見習うべきだと主張している。
同委は、旅客機が空港の誘導路などを走行中、翼の先端部分が他の旅客機や物体にぶつかる事例は1993年以降、12件発生し、最近も3件起きたと指摘。3件の原因究明作業は続いているが、ハースマン委員長は操縦席から主翼の先端部分の確認は困難かもしれないと説明した。
パイロットが操縦席の窓を開け、首を出して確認する方法は実用的でないとし、カメラや他の衝突回避システムが導入されれば大きな助けになると強調。これらのシステムは特に米ボーイング社製の747、757、767、777や、欧州エアバス社製のA380、米マクドネル・ダグラス社製のMD10、同11に有効としている。これらの機種の新造機や旧型機に導入されるべきとも提案した。
NTSBはまた、欧州で航空機製造の基準設定に当たる欧州航空安全局に対しても同様の提言を行った。
エアバスのA380型機には現在、空港内を走行前や走行中に機首と主翼車輪部分を監視出来る外部カメラ2台が設置されている。これらの映像は機内でも映し出されているが、主翼の先端部分は範囲外となっている。
米国のシカゴ国際空港では今年5月30日、台湾エバー航空のボーイング747-400型機の翼先端部分が走行中にアメリカン・イーグル航空の小型機の方向舵(ほうこうだ)や垂直安定板と衝突するインシデントがあった。負傷者はいなかった。