ナイジェリアの農家ら、石油流出を巡りシェルを提訴
(CNN) ナイジェリアの農家ら4人と環境保護団体「フレンズ・オブ・ジ・アース」は11日、英・オランダの石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルと同社のナイジェリア現地法人を相手取り、ニジェール川河口デルタ地帯の環境浄化と公害への補償を求める民事訴訟をオランダで起こした。
原告はシェルに対し、石油で汚染された土地や養殖場の除染を行うとともに、将来にわたってパイプラインを保守し、石油の流出事故を防止するよう求めている。
だがシェルは、問題となっている3つの村ではナイジェリア当局の求める環境浄化をすでに行っていると反論。同社は関連施設から流出した全ての石油の除去に努めており、環境汚染の多くは、パイプラインを破壊し石油の抜き取りを行っている人々が引き起こしたものだと主張している。
「ニジェール川デルタの真の悲劇は、幅広くかつ継続的に行われている犯罪行為にある。(パイプラインなどの石油関連施設の)破壊や(石油の)窃盗、違法な精製が、石油流出の大半の原因になっている」とシェルの広報は11日、声明を出した。
国連環境計画(UNEP)は昨年、オゴニランド地方での半世紀以上にわたる石油採掘による環境汚染がそれまで考えられていた規模をはるかに上回っていたとの調査結果を発表した。
この調査はナイジェリア政府が委託し、シェルが費用を負担したもの。これによれば、環境を元に戻すには30年間の年月と10億ドルの費用を要し、史上最大の除染作業になるという。