東海岸の電力施設、サンディ襲来で厳戒態勢 原発の監視強化
ニューヨーク(CNNMoney) 米東海岸では29日、ハリケーン「サンディ」の接近にともない、発電所をはじめとする公共施設に厳戒態勢が敷かれた。米原子力規制委員会(NRC)は同日、東海岸9カ所の原子力発電所で検査要員を増員したことを明らかにした。
NRCの報道官は、サンディの風速が上陸までに弱まるとの見通しを示し、原発の閉鎖は予定していないと述べた。また高潮で予想される水位も、危険水位より十分低いレベルにとどまると語った。一方で、各発電所で気象条件を監視している専門家らと連絡を取るなど、事態を注意深く見守る姿勢を強調した。
日本の福島第一原発事故では、浸水による電源喪失が炉心損傷につながった。同報道官はこれを踏まえ、米国の原発には2001年9月の米同時多発テロ以降、据え置き型と携帯型の非常用発電機を完備していると説明した。
東海岸一帯の送電システムを運用するPJMによると、万が一原発が停止した場合は不足を補うため、天然ガスや石炭を燃料とする発電所から電力が供給される。PJMは、ニュージャージー州の一部の変電所を土のうで保護する措置も取ったと述べたが、「安全保障上の理由」により具体的な場所は明らかにしなかった。
電力会社によると、サンディの影響による停電で、ニューヨークでは29日深夜現在、住民67万人以上が影響を受けている。ロングアイランド電力当局(LIPA)は州外から作業員数千人の協力を得ているものの、一部世帯では停電が7~10日間続くとの見通しを示した。ニュージャージー州からノースカロライナ州にかけての地域でも、停電の影響は50万人に及んでいる。