中国、報復で欧州ワインの安売り調査か 貿易摩擦拡大の懸念
ロンドン(CNNMoney) 中国商務省は5日、欧州連合(EU)加盟国が輸出するワインが不当に安売り(ダンピング)されている疑いがあるとして調査を開始したことを明らかにした。
EUの行政機関、欧州委員会が4日に域内へ輸出される中国製太陽光パネルを対象にした反ダンピングの相殺関税を導入したことへの対抗措置とみられる。
EU生産のワインの中国への輸出額は昨年、約7億6300万ユーロ相当。現在の為替相場では約992億円相当。フランス産が約7割、残りはスペインとイタリアが大半を占める。中国では中間層の増加と共に欧州の高級品への需要が近年高まっている。
商務省などによると、中国のワイン製造者は昨年、EU産ワインがダンピングされているとして調査を要請。欧州の製造業者が政府からの不公正な補助金に支えられ、中国の業者に被害を与えていると主張した。
欧州委の報道担当者は、今回のダンピング調査開始を受け中国は世界貿易機関(WTO)の加盟国として調査する権利があると指摘。その上で、WTOの規則が順守されているか注視すると述べた。また、欧州のワイン製造業界が中国への輸出でダンピングや補助金を得ていたとは判断していないと語った。
欧州委のデフフト委員(通商担当)によると、中国製の太陽光パネルへの相殺関税11.8%は今月6日から課される。平均税率は今年8月に47.6%に達する見通し。
EUと中国との交渉がまとまらなかった場合、12月には恒久関税となる。
中国とEUの間の物とサービスの貿易額は約4800億ユーロ相当。中国製太陽光パネルの輸出額は約210億ユーロとなっている。
最近欧州を訪問した中国の李克強(リーコーチアン)首相はバローゾ欧州委委員長との会談で、欧州側が太陽光パネルに相殺関税を打ち出した場合、対中関係に影響するとして報復措置も警告。中国外務省によると、首相は貿易戦争の回避も訴えた。