工場従業員が米国人トップを軟禁、賃金巡り 北京郊外
北京(CNN) 北京郊外にある医療器具メーカー、スペシャリティ・メディカル・サプライズ・チャイナで、従業員ら数十人が共同設立者のチップ・スターンズ社長を軟禁していることが25日までに分かった。人事異動や賃金をめぐるトラブルが原因で、今月21日から軟禁状態にあるという。
スターンズ氏は25日、工場の中からCNNに「脱出を試みたが、相手は60~70人ですべての出入り口をふさいでいる」と話した。
同氏によると、工場内の一部門で約30人の従業員をレイオフ(一時帰休)したことが発端。従業員の異動も行ったが、異動をいやがった一部に解雇手当を支払ったところ、すでに別の部門へ移った従業員も手当を要求し始めたという。
一方、従業員側はCNNとのインタビューで「賃金2カ月分の支払いが滞っている」「新たな材料の仕入れがないということは全員解雇される恐れがある」と主張した。
スターンズ氏はこれに対し、「未払いの賃金はない。誤った情報が一人歩きしているだけ。何とか交渉を試みている」と述べた。
24日には北京の米大使館職員が面会に訪れ、同氏の身に危険はなく交渉成立は近いとの見方を示した。本人によると、折り畳み式のベッドと1日3回の食事が与えられている。体に危害を加えられたことはないが、ドアや窓をたたいて睡眠を妨害するなどのいやがらせを受けているという。
米本社のトップの話では、従業員らに「退職を希望するなら退職手当を出す」と提案したのに対し、80~100人がそれぞれ約50万ドルを要求。そのまま応じれば同社自体の経営が危うくなるという。