最も有利な投資は「学位」 OECD調査
一方、高い税率が利回りの低下を招いている国もある。例えば世界で税率が最も高い国の1つであるデンマークでは、大卒の男性が一生に得られる追加的利益は7万3000ドル(約730万円)にすぎない。
日本や韓国などでは15万ドル(約1500万円)の追加的利益が期待できるが、それでも米国に比べるとかなり少ない。これは企業が従業員に高額な報酬を支払う習慣がないため、とシュライヒャー氏は説明する。
それでも、このリポートを見る限り、学位取得の利回りは他の投資のそれを上回り、さらに金融危機の影響で得られる追加的利益も増加しているようだ。
また香港大学のエコノミスト、ジェームズ・ビア氏は、金融危機時に学位の価値が高まるもう1つの理由として、企業が採用時に用いる求職者の選考方法を挙げる。
ビア氏によると、金融危機時にはわずかな求人に多くの求職者が殺到するため、企業は求職者をふるいにかける必要があるが、その際に真っ先に見るのが学位の有無だという。
しかしビア氏は、価値があるのは学位そのものではなく、学位を取得する過程で習得した市場性のあるスキルだとし、重要なのは自分の進路や目標を明確にした上で、それを達成するために必要な学位を選択することだと指摘した。