アフリカの高地でマス養殖 日本にも輸出
生産プロセスは、まずデンマークからマスの卵を取り寄せるところから始まる。届いた卵は、温度制御された囲いの中で重さ10グラムほどの幼魚になるまで飼育される。
幼魚になると、今度はアフリカ大陸で2番目に大きなカツェ・ダムにある小さなケージに移される。この、より自然に近い環境で、魚たちは全長約20センチ、重さ約150グラムになるまで飼育され、最後に、より大きなケージに移され、そこでレソトでの「最後の日々」を過ごす。レソトでの養殖期間は約20カ月で、この間に重さが2.8キロに達する魚もいる。これらの魚は寿司、スープ、焼き魚などの料理に使われる。
レソトで養殖された魚の大半(85%)は、南アフリカ・ダーバンの港からアジアに出荷され、残りは南アフリカ(10%)とレソト(5%)で販売される。
このマス養殖プロジェクトの成功の鍵は、海外の器具や技術を導入したことだ。特別に設計されたケージはノルウェーから輸入しており、成長過程の魚に与えるたんぱく質を豊富に含んだ飼料はフランスから取り寄せている。この養魚場の責任者はノルウェーで20年間経験を積んだ。
またこの養殖プロジェクトは、地元の雇用促進にも一役買っている。「われわれは100人強(の地元住民)を永続的に雇用している」と語るのは、ハイランズ・トラウトの責任者、グラント・メリック氏だ。