ロシアで進む欧米産食品の押収・廃棄 国民からは批判の声も
モスクワ(CNN) ロシア警察当局は先ごろ、大がかりな密輸組織を摘発した。組織が扱っていた商品、それは麻薬でも武器でもない。欧米からの密輸チーズだ。
当局によれば、押収したチーズの総量は約470トン。値段にして3000万ドル(約37億円)に相当するという。
摘発の対象となっているのはチーズに限った話ではない。
プーチン大統領が経済制裁に対する報復として出した欧米諸国産の食品を廃棄処分にする大統領令を受け、地方政府は容赦ない取り締まりを展開している。
摘発の様子は撮影され、国営テレビで放送されたり、インターネットで動画が公開されたりしている。
例えば小さな村の商店から、輸入書類に不備があったとして3羽の冷凍ガチョウが押収され、ゴミ処分場に埋められる。
別のビデオでは、偽の書類で輸入されたというモモ19トンが押収されて潰され、やはりゴミ処分場に廃棄される様子が記録されている。
経済危機と食品価格の高騰にあえぐロシア国民の間からは、食べ物を粗末にすることに批判の声も上がっている。
押収された食品の廃棄に反対する請願には数十万人の署名が集まった。この請願では、食品を貧しい人々や年金生活者、失業者に分配することを求めている。