リオ五輪、治安確保にめど 警官給料などで政府融資
リオデジャネイロ(CNNMoney) 五輪開幕を8月5日に控えるブラジルのリオデジャネイロ州は2日までに連邦政府から総額29億レアル(約928億円)の融資保証を得たと発表した。大会期間中の治安維持の確保などにめどがついたことを意味する。
五輪開催地となるリオデジャネイロ市があるリオデジャネイロ州は先月、深刻な財政危機による非常事態を宣言。財政支援がなければ治安、交通などの公共サービス維持で責務を果たせないと訴えていた。
連邦政府からの融資は、警官への給料支払いや巡回用の警察車両のガソリン代などに回される予定。警官は過去半年余にわたって残業代をもらっていないという。同州知事は地元紙グロボに、資金援助がない場合、警察車両は今週末にガソリン切れとなるとも明かしていた。
連邦政府の観光行政当局の責任者によると、大会期間中には警官や軍兵士約8万5000人がリオ市内で警備に当たる。
五輪をめぐっては難問や混乱が次々と起きており、円滑な大会運営を危ぶむ見方も根強い。ジカウイルス感染症(ジカ熱)対策も依然迫られ、ビーチバレー競技会場近くの海岸に人間の切断遺体が漂着し、五輪参加選手が街頭で白昼強盗に襲われ、五輪観客用に指定された救急病院内で麻薬組織絡みの銃撃戦が発生するなどの事件も相次ぐ。
五輪会場とリオ中心部を結ぶ地下鉄新線はまだ完工していない。ブラジル経済は1930年代以降、最悪とされる不況にあえいでいる。これらに加え収賄疑惑や大統領弾劾(だんがい)騒動に襲われる政局混乱もまだ続き、救国内閣を組織した暫定大統領も閣僚3人が汚職容疑に絡んで辞任する危機に直面している。