ロシア、緊急用財源が枯渇の危機 資源価格低迷
ロシア政府はこれまで、緊急事態用の財源が尽きた場合、福祉基金の活用に頼る可能性に言及している。ロシア大統領府によると、福祉基金の規模は700億ドルを超えている。ただ、同基金の本来の目的は予算の赤字を埋めるものでなく、将来の年金支払いや大規模事業の資金に充てられるものとなっている。
この中でロシア中央銀行は16日、景気回復を狙って主要政策金利を10.50%から10%に新たに引き下げると発表した。中銀の外貨準備高は現在、3950億ドル相当で2013年10月の5240億ドルからは相当減少している。14~15年に自国通貨ルーブルの安値を防ぐため1400億ドルを融通したことが響いているとみられる。
ただ、この為替市場への介入は奏功せず、今年1月には対米ドルで過去最低の安値を記録。その後はいくぶん持ち直したものの、ルーブル安の基調に変化はない。
欧米による対ロシア経済制裁では、同国の主要企業に対する欧州からの投資ルート遮断、特定の産品輸入禁止や政府幹部の資産凍結などの措置が打ち出された。ロシアは欧州産の一部食料品の輸入禁止などの対抗策で応じたが、欧州諸国の農業に混乱を生じさせたものの国内ではインフレ率が2桁台に上昇する副作用を被ることともなった。