旅客機の座席スペース確保へ、当局に対応を命令 米連邦裁
ニューヨーク(CNNMoney) 旅客機の座席の幅や前後の間隔が縮小される傾向に歯止めをかけようと、米消費者団体が連邦航空局(FAA)による規制を求めていた裁判で、首都ワシントンの連邦高裁は30日までに、原告の主張を認め、FAAに対応を命じた。
航空機利用客の権利を主張する団体「フライヤーズ・ライツ」は2015年、座席スペースの確保に向けた新たな規則の導入をFAAに要請。これが却下されたため、裁判所に訴えていた。28日の判決を受け、「フライヤーズ・ライツと乗客の勝利」を宣言した。
裁判で提示された統計によると、旅客機の座席幅は2000年代初頭の約47センチから、05年ごろには約43センチに縮小した。前後の幅は約90センチから、一部では約71センチまで短くなっている。座席を詰めて定員を増やせばコスト削減になり、運賃を安く抑えられるというのが、航空会社の言い分だ。
同団体は裁判で、座席スペースが狭くなることでエコノミークラス症候群などのリスクが高まると指摘した。米国人の肥満率は上昇傾向にあるのに、航空会社の動きはこれに逆行していると主張し、判事らもこれを認めた。
FAAは29日、対応を慎重に検討しているとの声明を出した。
旅客機の座席スペースをめぐっては、これまで幅と間隔の下限を定める法案が連邦議会で繰り返し審議されたが、いずれも却下されていた。FAAが規制する場合、議会の承認を得る必要はない。