インド「新幹線」で起工式 大きな前進か、むだ遣いか
ニューデリー(CNNMoney) インド西部アーメダバードと金融の中心であるムンバイを結ぶ高速鉄道の起工式が14日、行われた。だが、老朽化の進む広大な鉄道網を持つインドにとって必要な投資か疑問の声も上がっている。
インドのモディ首相と日本の安倍首相は建設計画について、インドにとって大きな前進だとほめたたえた。だが約170億ドル(約1兆8700億円)のばく大な費用をかけるなら、老朽化が進み危険な既存の鉄道網の更新に使うべきだとの声も聞かれる。
日本政府は建設費用の大部分に相当する約140億ドルを償還期間50年の円借款として供与する。
インドの巨大な鉄道網は160年以上前に英国によって整備された。1日に1万2000もの列車が世界一周に相当する距離を走り、利用者はオーストラリアの全人口とほぼ同じ2300万人に上る。
だが混雑がひどく、インフラは旧式で老朽化が進んでいる。政府の統計によれば、全路線の60%以上で輸送能力を超えた交通量となっている。
「過去50年間に輸送能力は大きく伸びたが、それよりずっと急速に需要も伸びてきた」と、大学の工学部教授でインド鉄道愛好家クラブの共同創立者であるディーラジ・サンギ氏は言う。
脱線事故は頻繁に起きている。先月だけでも6件発生し、今回の起工式の数時間前にもニューデリーの駅で事故があった。
2015年に鉄道事故で命を落とした人の数は約3万人にも上る。
モディ政権は鉄道網の改修には8兆5000億ルピー(約14兆6000億円)以上が必要だと見積もっている。だが専門家はこの算定でも少な過ぎで、ペースも遅いと指摘する。
「あの数字は、過去5年間(の見積もり)よりはましに見えるが、必要な額にはほど遠い」とサンギ氏は言う。「本当に必要な金額はずっと、ずっと大きい」