次のW杯はカタール、ビジネスチャンス狙う地元起業家たち
またカタールは、W杯を利用して、石油やガスへの依存から脱却し、経済の多角化を図るのに役立つ新たな産業や企業の育成を目指している。その一環として、カタールは自国のより多くの起業家を支援したい考えで、アーベックスもこのチャンスを生かそうと意欲を見せている。
アーベックスは、カタールと中東全域の技術革新の促進を目的としたカタールのコンペティション「チャレンジ22」の出身だ。カタールの「伝送と遺産の最高委員会(SC)」主催のこのコンペティションは、W杯への準備に役立つと思われるアイデアに対し、トレーニング、資金、メンタリングを提供する。
アーベックスもこのコンペティションで、開業資金の13万5000ドルを獲得した。数十億ドル規模のW杯や文化的な投資に比べると金額はまだ少ないが、このコンペティションを通じて育った企業が、W杯後に新しい企業としてのレガシー(遺産)を残すことが期待されている。
2022年以降
アーベックスのような若い企業が、W杯後も影響力を維持できるか否かは、実際に大会が終わってみないと分からない。
多くの主要なスポーツイベントが野心的なレガシープランを掲げるが、どれもうまくいかない。04年のオリンピック開催地であるギリシャの首都アテネの老朽化する会場や、14年のW杯のために建設されたが、現在はほとんど満員になることがないブラジルの首都ブラジリアのマネ・ガリンシャ・スタジアムがいい例だ。
カタールの伝送と遺産の最高委員会でレガシープランナーを務めるファトマ・アル・ヌアイミ氏によると、カタールはレガシープログラムが実現せずに終わる危険性を十分認識しているという。