次のW杯はカタール、ビジネスチャンス狙う地元起業家たち
一方でアル・ヌアイミ氏は、起業家精神の育成や長期的な経済の多様化に関する活動の多くは、W杯が「きっかけ」となっているものの、仮にW杯がなかったとしても検討されていた可能性が高いと指摘する。
カタールは過去10年間に、金融、教育、観光、文化、医療の各分野の新たな制度作りに数十億ドルを費やしてきた。ただ、ドバイに拠点を置く新興のデータプラットフォーム、マグニットの調査によると、カタールのスタートアップ・エコシステムは、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなどの近隣諸国のそれと比べ、はるかにアクティビティが少ない。
アラビア人のハイテク専門家・起業家向けハブサイト「アラブネット」のビジネスインテリジェンス部門の記録によると、2013年から2017年までの4年間に投資を受けたハイテク新興企業の数は、UAEが298社、エジプトが169社、レバノンが162社だったのに対し、カタールはわずか3社だった。
それでも、カタール開発銀行は2017年に同行だけで、新興企業との間で11件の投資契約を結んだとしている。またカタール・ビジネス・インキュベーション・センター(QBIC)などの組織・団体もここ数年、W杯関連か否かに関わらず、カタールの民間企業の設立を支援している。