訪米観光客が減少基調 背景に景気、政治環境や米中摩擦
ニューヨーク(CNN Business) 全米旅行協会などは13日までに、外国人観光客の米国旅行が今年に入り、衰退基調にあると報告した。今年初期にはカナダ、メキシコ、中国や韓国からの減少が顕著だった。
昨年の外国人旅行客は約7860万人で史上最高を記録。ただ、昨年下半期から停滞し始め、今年年初からは減少基調に転じた。米国の旅行業界はこの傾向の継続期間に気をもんでいる。
専門家は、比較的高めのドル価値、世界規模での景気後退や政治的環境などが減少要因とした。
観光業界は米国経済の成長の柱の1つで、昨年は収支で690億ドルの黒字を記録。全米旅行協会によると、貿易全体の赤字幅を11%程度減らす効果をもたらした。
また、外国人旅行客が米国訪問で費やす金額は1回で4000ドル。中国人観光客の場合は約7000ドルと激増している。
外国人訪問客の減少は関連企業の業績にも影を落とし始めた。高級宝飾品ブランド「ティファニー」は最近、米国内の店舗で外国人の購入額の低下を報告している。
中国の景気悪化も米国の旅行業界には差し迫った問題だ。中国人の訪問客数はカナダ、メキシコ、英国と日本に次ぐ5位。中国人の米国旅行は世界的な金融危機の終了後、毎年急激に伸びて2012~17年には倍以上の水準となった。
しかし、昨年4月には伸びが衰え、結果的に18年通年で6%減を記録。米中通商摩擦が主因で、貿易や出張が減り、景気減速で中国人による個人的な買い物もしぼんだ。
米中間の緊張の高まりで中国政府は国民に訪米での警告を再三出し、最近は米国の銃暴力の脅威にも言及。米国留学を考える大学生には学生ビザ取得がより困難になるとも警告した。