英政府、公務員90万人の賃上げを発表 看護師は含まず
ロンドン(CNN) 英政府は21日、公務員90万人を対象にした賃上げを行うと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大中の働きに対する報酬としているが、看護師への適用は見送られた。
今回政府がインフレ率を上回る賃上げの対象としたのは教師、警察官、医師、歯科医、上級公務員など90万人。
賃上げ率は教師が最も高く3.1%。医師の賃金はそれに次いで2.8%上がる見通しだ。これらの賃上げ率の設定は、「新型コロナとの戦いの最前線で活躍した」ことを念頭に置いたものだという。
一方で、看護師や他の医療従事者は今回の賃上げの対象から除外された。政府は2018年に結んだ3年契約により、すでに給与が上がっているためだと説明している。この契約では、看護師の賃金は21年までの3年間毎年上がることになっている。
21日の発表を受け、看護師らからは驚きや不満の声が上がった。看護師の労働組合RCNは声明を出し、現行の契約が切れる来年まで賃上げを待たされるのは納得できないと主張。「正当な賃上げを直ちに行うのが筋だ」と述べた。
RCNや他の医療従事者の団体は、今月3日にジョンソン首相やスナック財務相に書簡を送り、看護師に対する昇給を求めてもいた。その中で各団体は看護師らの給与について、上限が長期にわたって凍結されており、18年に結んだ契約は状況を変えるきっかけに過ぎないと主張。現状ではより多くの賃金が支払われる必要があると訴えた。
英国では緊縮政策の一環で、10~17年にかけ公共セクターの大半で賃上げ率の上限が1%に抑えられていた。ロンドンのキングズカレッジ病院で看護師長を務める女性は、「今年の給与は去年より下がっている。月収でだいたい50ポンド(約6800円)ずつ減っている」と説明。看護師がすでに高い賃金を得ているなどというのは「人を馬鹿にした話だ」と憤りをあらわにした。