FRBのパウエル議長、今後の物価上昇に言及 株式市場は下落
ニューヨーク(CNN Business) 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日の記者会見で、今年夏に消費者物価が上昇するとの見通しを示した。投資家の間では、物価上昇によってFRBが予想より早い利上げを強いられるとの懸念が出ており、パウエル氏の発言を受けて米国株は下落した。
パウエル氏は会見で、ワクチン接種の進展に伴って経済の完全再開が可能となり、強力な雇用の伸びや消費者物価の上昇が起きると予想。一方で、FRBは経済に過熱リスクがあるとは見ていないと慎重姿勢も示した。
ただ、市場はパウエル氏の会見に強く反応した。10年物米国債の利回りは上昇し、取引終了前後の利回りは0.07%高の1.54%となった。
株式は売られ、ダウ工業株平均は1.1%下げて346ポイント安で取引を終了。S&P500指数の終値は1.3%減となった。
ナスダック総合指数の下げ幅はさらに大きく2.1%減となった。2月12日に付けた史上最高値からの下落幅は9.7%減で、直近の高値から10%の下落と定義される調整直面入りは辛うじて避けた格好だ。ナスダックの年初来の上昇は帳消しとなっている。
パウエル氏は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記者との会見で、「経済が再開し上向きになれば、インフレも上昇するだろう」と指摘。「我々が1年前に検討した経済シナリオに比べると、現在の状況は良い」と述べた。
米国のインフレ率は現在、FRBが長期的な目標とする2%前後を下回っており、むしろ物価上昇は長期にわたって低い水準にとどまってきた。パウエル氏は「米国と世界はこの数十年間、低インフレの世界にある」との見方を示している。