イエレン氏、世界的な最低法人税率の設定求める 米財務長官として初の主要演説で
ワシントン(CNN) イエレン米財務長官は5日、世界的な法人税の最低税率を設定することを求めた。バイデン政権はこのほど約2兆ドル(約220兆円)規模のインフラ投資計画を発表。法人税引き上げによって巨額の財源を賄うとみられている。
イエレン氏はシカゴ国際問題評議会で演説し、20カ国・地域(G20)とともに世界的な法人税の最低税率設定に向けて取り組んでいると明かした。同税の引き下げ競争に終止符を打つためであり、それにより世界経済の繁栄を確実なものにできるとの認識を示した。そのうえで多国籍企業への課税がより公平に行われることで、技術革新や経済成長に拍車がかかるとも述べた。
イエレン氏が財務長官として主要な演説を行ったのはこれが初めて。
「各国政府が安定した税制度を確保するのが肝心だ。そうすれば十分な歳入を得たうえで必要不可欠な公共財への投資や危機対応を行える。またすべての市民が公平に負担を分け合い、政府の財源を支えることにもなる」(イエレン氏)
バイデン氏のインフラ計画では、世界的に事業展開する米企業へのミニマム税の税率を21%に引き上げるとしている。税額を国ごとのベースで算定し、利益が租税回避地に移転するのを阻止する方針。
また現行で21%の法人所得税率は28%に引き上げる。同税率は最高で35%だったこともあるが、トランプ前大統領と議会共和党が2017年に税率の引き下げを行っていた。