豪政府、石炭産業は「2030年以降も」継続 国連の警告に異議
ロンドン(CNN Business) オーストラリア政府は6日、石炭の産出と輸出を「2030年を優に越えても」継続する意向を表明した。これに先駆け、国連の気候問題担当当局者は、化石燃料を廃止できなければ経済に「大損害を引き起こす」と警鐘を鳴らしていた。
国連の警告に逆行するピット資源・水資源相による上記の発言は、オーストラリアが他の複数の先進国とも考え方を異にしていることを示す。これらの国々は、20年代の終わりまでに石炭の使用を段階的に縮小する取り組みを行っている。
ピット氏は6日の声明で「この極めて重要な産業の未来を決めるのはオーストラリア政府であって外国の組織ではない。後者の望むように産業を止めれば、多くの雇用と数十億ドル規模の輸出が我が国の経済から失われることになる」と主張した。
声明では石炭がこれまでオーストラリア経済にもたらした恩恵を列挙したものの、気候危機への言及はなかった。
そのうえで「石炭が今にも死に絶えようとしているというのは大変な誇張であり、その未来は2030年を優に越えて保証されている」と強調。向こう10年にわたってアジア全域で石炭消費が拡大すると国際エネルギー機関(IEA)が予測しているとし、その背景には中国、インド、韓国などでのエネルギー需要があると指摘した。
「オーストラリアにはそうした需要を満たす大切な役割がある。石炭は引き続き、鉱山使用料と税金という形で州と連邦政府に莫大(ばくだい)な利益をもたらし、5万人を超える国内の直接雇用を生み出すだろう」(ピット氏)