米テスラ、中国新疆にショールーム新設
(CNN Business) 米電気自動車(EV)大手テスラは4日までに、中国西部新疆ウイグル自治区に新たなショールームを開設した。現地ではイスラム教徒が大半を占める少数民族ウイグルへの人権侵害や暴力的な弾圧が行われているとされる。
新疆は近年地政学上の注目を高めており、米中両政府間の緊張関係の主因ともなっている。米国は最近成立させた法案により、同地域産製品の輸入を事実上禁止した。
テスラはショールームの新設を中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の公式アカウントで発表。ショールームは新彊ウイグル自治区の首府ウルムチにある。同市の人口は350万人。
中国におけるテスラの存在感は大きく、数年をかけての参入には中国政府の強力な後押しもあった。
最近では中国国内での大規模リコールや地元のEVメーカーとの競争激化といった困難にも直面するが、それでも昨年の第1四半期から第3四半期にかけては中国市場のシェア拡大を報告していた。
ただ新疆でのショールーム新設は物議をかもす可能性があり、西側企業にとって中国が政治的にどれほど緊張を強いる存在であるかを浮き彫りにする事態ともなっている。
50人を超える国際法の専門家が昨年3月に報告したところによれば、中国によるウイグルへの処遇はジェノサイド(集団殺害)の合法的定義を満たす。あるいは組織的な試みを通じ、全体であれ部分的であれ特定の宗教的もしくは民族的集団を根絶やしにする行為に該当するという。米国務省は、ウイグルと他のイスラム教徒少数派からなる最大200万人が新彊各地の強制収容所に収容されているとの認識を示す。
中国側は強い態度で再三こうした見方を否定。ウイグルに対する人権侵害や強制労働は行っていないと主張する。同国の当局者によれば、ウイグルが収容されているのは再教育を目的とした施設であり、宗教的過激主義やテロリズムに染まるのを防ぐ目的があるという。
テスラの米国本社は、人権侵害が疑われる地域で事業を行うことに懸念はないかと尋ねる質問に回答しなかった。