中国学習サービス大手の新東方、昨年従業員6万人を解雇 政府の規制強化受け
香港(CNN Business) 中国の学習支援サービス大手、新東方教育科技集団は11日までに、従業員6万人を昨年解雇していたことを明らかにした。政府による業界全体の改革が影響を及ぼしたとみられる。
新東方の創業者で富豪の兪敏洪氏はこのほど、メッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」の自身のアカウントで従業員の削減について確認。「2021年はあまりに多くの変化に見舞われた」と付け加えた。大量解雇は「政策、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、国際関係」に原因があるとも説明した。
兪氏の投稿は、中国の民間企業が国内の政策の結果被る状況を如実に示している。政府は大掛かりな措置を講じ、無軌道とみなすビジネス慣行の抑え込みに動いている。
ニューヨーク株式市場に上場している新東方は、時価総額で中国最大の民間教育会社。同国の民間教育部門は1200億ドル(約14兆円)規模だが、昨年7月に発表された規制で打撃を受けた。その内容は営利目的で行う校外学習支援サービスを禁止し、これらを提供する企業には利益の獲得や資金調達に制限をかけるというものだった。
規制当局は当時、行き過ぎたサービスの提供が子どもたちを極端に圧迫し、親にも非常に大きな経済的負担を強いてきたと指摘。その間、社会の格差も深刻化したと説明した。
規制の発表以降、当局は該当する企業に対し、オンラインと対面での校外学習支援ビジネスの停止を指示した。
最新の年次報告書によると、校外学習支援サービスに携わる新東方は昨年5月の時点で正社員8万8000人、契約スタッフ・教員1万7000人を抱えていた。解雇された6万人に契約従業員が含まれるのかどうかは不明。
兪氏は昨年200億元(約3600億円)近くを投じて、前払いされた授業料の顧客への返金、解雇される従業員への補償、全国の学習拠点との賃貸契約の解除を行ったと述べた。
売り上げは80%落ち込み、時価総額は90%縮小したという。失った時価総額は約280億ドルだった。