インドネシア、パーム油の輸出禁止解除へ 食品価格安定にわずかな希望か
ロンドン(CNN Business) インドネシアがパーム油の輸出禁止措置を来週から解除する。これにより世界市場の需要逼迫(ひっぱく)が緩和され、食料価格高騰の圧力の軽減につながる可能性がある。
ジョコ大統領は19日の声明で、「食用油の現在の供給と価格に基づき」今回の判断を下したと明らかにした。また国内のパーム油産業に従事する1700万人の労働者についても考慮したと述べた。
インドネシアは世界のパーム油生産の6割近くを占める。先月実施した輸出禁止措置は、国内の供給維持と価格抑制を念頭に置いたもの。
禁輸の報道を受け、世界的な指標となっているマレーシア産粗パーム油の先物価格は高騰していた。マレーシア株式市場によると、ジョコ氏の発表後の19日、同価格は1%下落した。
パーム油は食品や化粧品の主要原料。世界自然保護基金(WWF)はスーパーマーケットにある包装した製品のうち50%近くにパーム油が使用されていると推計する。
パーム油の代替品として知られるヒマワリ油はウクライナが世界最大の輸出国の一つだが、コンサルタント会社のLMCインターナショナルによると、ロシアによる侵攻で生産が阻害されているという。
南アフリカとカナダでは干ばつが猛威を振るい、それぞれ大豆油とキャノーラ油の供給に影響が出ている。
世界的なインフレと主要産物の不足が悪循環を引き起こし、地球規模で食料に対する不安定感が高まっているのが現状だ。国連食糧農業機関(FAO)は先月、今年3月の世界の食品価格が過去最高水準にまで跳ね上がったと発表していた。