英国のエネルギー危機、「パンデミックより甚大」

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英国政府が家計にのしかかるエネルギー危機への対応を迫られている/Emily Macinnes/Bloomberg/Getty Images

英国政府が家計にのしかかるエネルギー危機への対応を迫られている/Emily Macinnes/Bloomberg/Getty Images

ロンドン(CNN Business) 英国は急騰するエネルギー料金に対する答えを直ちに見つけなくてはならない。さもないと人道危機のリスクが浮上する。しかしガス・電気料金を今年と来年の冬の2度にわたって凍結すれば、政府にのしかかるコストは1000億ポンド(約16兆円)を超える。これは新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の時期に政府が国民に支給した給与の額を上回る。

今年に入り、政府は予想されるエネルギー料金値上げの9割分を家計に負担させないため、減税やエネルギー料金の払い戻し、直接給付といった施策を講じてきた。しかしその後、天然ガスと電力の価格は急騰。今後も値上がりが予想されている。

英国政府研究所の研究者らは23日、予想されるエネルギー料金値上げの9割分から家計を守るには2023年4月までにさらに230億ポンドの政府支出が必要になるとの見方を示した。24年4月までの同率分を相殺するには改めて900億ポンドかかるとしている。

この予測は英エネルギー企業大手のスコティッシュ・パワーが提示したコストと一致する。英紙フィナンシャル・タイムズの報道によれば、同社は政府に対し、2年間のエネルギー料金凍結によって数百万世帯の家計を保護するよう呼び掛けていた。

現行のエネルギー料金は年平均1971ポンドと、年初来54%値上がりした。しかし10~12月の上限価格が26日に改定されると、同3500ポンドを超える水準に跳ね上がるとみられている。調査会社Auxilioneのアナリストらは、平均的な家計の天然ガス・電気料金の支出額について、政府が介入しない場合、来春には最大で年6433ポンドになる可能性があると指摘する。

スコティッシュ・パワーは政府に対し、エネルギー料金の上限を2000ポンドとして、供給業者向けに補助金を支給するべきだと主張。その資金を格段に値上がりしたガス・電気の卸売市場でのコストに充てるとしている。

補助金にかかる1000億ドルの費用は政府借入金の増額で賄う。その分の資金は向こう10年余りの普通税によって供給されると、フィナンシャル・タイムズが事情に詳しい匿名の情報筋を引用して報じた。

スコティッシュ・パワーのキース・アンダーソン最高経営責任者(CEO)は22日、スコットランドのテレビ局に出演し、多くの人々にとって本当にひどい状況が訪れるだろうと警告。「影響はパンデミックより甚大。大きな国家的危機だ」と付け加えた。

英国政府はパンデミック中の1年半に実施した一時帰休のスキームに700億ポンド近いコストをかけていた。20年3月に企業が活動を停止すると、補助金を支給して従業員の給与に充てることで大量解雇を防いだ。

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