有害物質BPA、人気ブランドのスポーツブラから高濃度で検出 米消費者団体が警鐘
ニューヨーク(CNN Business) 人気ブランドのスポーツブラやスポーツウェアから、喘息(ぜんそく)、心疾患、肥満といった健康被害との関係が指摘される化学物質のビスフェノールA(BPA)が高濃度で検出されたと、米消費者団体のCEHが発表した。
同団体はこの半年の間にアスレタ、ピンク、アシックス、ザ・ノース・フェイス、ブルックス、オールインモーション、ナイキ、フィラのスポーツブラについて、BPAの検査を実施。その結果、こうしたブラを着用すれば、米カリフォルニア州が定める安全基準の最大で22倍のBPAにさらされる可能性があることが分かった。
CEHは非営利の消費者保護団体で、消費者製品中の有害物質の存在を明らかにする活動に注力している。
1986年に制定されたカリフォルニア州の法律では、皮膚に触れるBPAの許容量を1日3マイクログラムまでと規定している。
CEHがザ・ノース・フェイス、ブルックス、ミズノ、アスレタ、ニューバランス、リーボックのスポーツシャツを対象に実施した検査でも、スポーツブラと同様の結果が出た。
CEHは12日、メーカー各社に是正を求める通知を送り、60日以内に是正されなければカリフォルニア州の裁判所に苦情を申し立てると通告したことを明らかにした。
これまでのところ、CEHの検査でBPAが検出されたのは、化学繊維のスパンデックスを使った衣類のみだという。CEHはメーカー各社に対し、BPAを含むビスフェノールを全て製品から除去するよう求めるとともに、消費者に対しては運動後に着替えてスポーツウェアの着用時間を短くするよう勧告している。
アスレタ、ナイキ、リーボック、ザ・ノース・フェイス、ヴィクトリアズ・シークレット(ピンクの親会社)の各社はこれまでのところ、コメントを出していない。
BPAはペットボトルや缶詰、玩具、フローリングなど数多くの日用品に使われており、糖尿病、心疾患、がん、肥満、EDなどとの関係が指摘されている。
2020年の研究では早死ににつながる恐れもあるとされたほか、最近では学齢期の女児の喘息との関係も指摘された。
BPAや食品や飲料の容器からにじみ出たり、皮膚から吸収されたりして体内に取り込まれる。
CEHの専門家は「レシート用紙を数秒から数分扱うと、BPAが皮膚から吸収されて血流に入り込むことが研究で示されている。スポーツブラやスポーツシャツは何時間も着用し、汗をかくので、衣類からこれほど高濃度のBPAが検出されたことは懸念される」と話している。