映画業界復活の兆しか、「バーベンハイマー」封切りで期待高まる
グレタ・ガーウィグ監督による「バービー」はコメディーあり自分探しありの内容で、バービー人形が意味や重要性を求めて現実世界の性差別主義と対決する様子を描く。
「オッペンハイマー」はこれ以上ないほど対照的な内容だ。クリストファー・ノーラン監督の同映画は米国人物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの幼少期の神童ぶりからマンハッタン・プロジェクトの責任者として原爆開発を指揮するまでの道のりを描く。
意外な組み合わせだが、それがかえって両作品への関心をかき立てているようだ。世界最大の映画館チェーンAMCは先週、6万人が同一日に両作品のチケットを購入したと明らかにした。
チケット販売の低迷やパンデミック開始以降に相次ぐ恒久閉鎖で打撃を受けている映画館にとっては、「バーベンハイマー(バービーとオッペンハイマーを組み合わせた造語)」はうってつけの処方箋(しょほうせん)かもしれない。
ただ、両作品の成功が映画業界の持続的な復興につながるかは未知数だ。DC映画「ザ・フラッシュ」やディズニー映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」のような今夏の大作映画は期待を裏切る結果になっているほか、報酬や労働環境をめぐる俳優や脚本家のストライキで大半の映画の製作は一時中断している状況だ。
新型コロナ禍による経済的な打撃は極めて大きく、世界第2の映画館チェーンでリーガル・シネマズを傘下に持つシネワールドは2020年~21年に計33億ドルの損失を計上した後、昨年9月に破産を申請した。シネワールドはこれまでに、米国内にあるリーガル・シネマズの映画館51カ所を閉鎖している。