中国恒大集団の危機、深まる 債務支払いを再び不履行
香港(CNN) 経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団の本土部門、恒大地産集団は25日、40億元(約815億円)の元本と利息の支払いを履行しなかった。深圳証券取引所への提出書類で明らかとなった。中国不動産危機の震源地である同社の先行きに疑念が増している。
恒大集団は6月末時点で3280億ドル(約49兆円)の負債を抱える。最初に不履行を起こしたのが2021年で、その後中国の不動産市場全体に危機が波及した。
同社は24日、恒大地産集団への当局の捜査が原因で債務再編の取り組みに支障が出ていると報告し、投資家の懸念が高まっていた。恒大集団によると、同社金融部門への刑事捜査が進められており、同社が巨額の債務再編を完遂できるのか疑念が増している。
恒大集団の株価は26日、前日比7%安となった。25日には22%安を記録していた。他の不動産開発企業も軒並み株価が下落している。
同社の債務再編が失敗し、海外の債権者と新たな合意が成立しなければ、会社が清算される可能性もある。無秩序に同社が倒産した場合、長年不動産市場に成長を依存してきた中国経済にさらなる損失を与えうる。
SPIアセットマネジメントのスティーブン・イネス氏は、中国経済の安定性に対する懸念が再び出ていると指摘する。
「同国の不動産市場は改善の兆候ではなく悪化していて、金融安定性のリスクが増しているとの懸念に再び火が付いている」(イネス氏)
同氏はさらに、中国当局が経済全体を支えるのに十分な措置をとるのか、不安感が増しているとも言及。政府の優先事項は単純な経済成長の追求から技術の自己完結性や金融安定性へとシフトし、「優先事項の組み合わせの変化が中国当局により複雑で微妙なバランスの行動をもたらす」との見方を示す。
恒大集団は24日、恒大地産集団への捜査が原因で新たな債券発行が出来ないと発表、投資家を驚かせた。中国の証券当局は先月、恒大地産集団が投資家への情報開示での法令違反をした疑いで捜査を開始したという。
中国警察は今月、恒大集団が投資家への償還を実施しなかった後に資産運用部門のスタッフ数人を拘束。同社が2年前に債務危機に見舞われて以来、初の刑事捜査となった。