米レンタカー大手ハーツ、EV2万台売却へ 代わりにガソリン車購入
(CNN) 米レンタカー大手ハーツが保有する電気自動車(EV)の3分の1に相当する約2万台を売却し、その売り上げでガソリン車の購入を増やす方針であることが12日までに分かった。同社は近年、EVの大規模な導入を進めていたが、ここへ来て縮小に転じる決断を下した。
ハーツの経営陣らはかねて、EVが同社の財務状況を悪化させていると指摘してきた。維持費は比較的少なく済むものの、修理費と減価償却費がより高いのが理由だという。
シェア最高経営責任者(CEO)は、最近のアナリストとの電話会議でEVの修理費について、しばしば比較対象となるガソリン車の約2倍かかることを明らかにしていた。
またEVの新車市場での価格低下に伴い、ハーツでレンタカーとして使用したEVの再販価値も押し下げられているという。
米証券取引委員会(SEC)に提出した文書によると、ハーツはEVの減価償却で約2億4500万ドル(約355億円)の損失を見込む。1台当たり約1万2250ドルのコストがかかる計算だ。
同社は名指ししていないが、原因の多くは米EVメーカーのテスラにあるとみられる。
ハーツが運用するEVのおよそ8割はテスラ車が占める。ハーツのレンタカーの約11%がEVだ。テスラはかねて車両価格を積極的に引き下げ、それを受け他のメーカーも自社のEVを値下げしてきた。
自動車メーカーが新車の価格を下げれば、同じモデルの中古車市場での価格も下がる。使用に伴う価値の下落も早まり、大量の車両を中古車市場で販売しているハーツのようなレンタカー会社にとっては大打撃だ。
またハーツの幹部によれば、比較的新しい会社のテスラには交換部品や熟練の修理工でも他のメーカーほどの数がそろっていないという。このため修理に多くの費用と時間がかかる状況となっている。
ハーツは自社の中古車をオークションで売っているほか、販売用のウェブサイトを通じて顧客に直接提供してもいる。