巨大気球が山火事の発生予測を可能に? 米コロラド州で実証実験

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2022年にコロラド州ブリッグスデールで試験飛行を行う巨大気球/Urban Sky

2022年にコロラド州ブリッグスデールで試験飛行を行う巨大気球/Urban Sky

(CNN) 7月末、米コロラド州で4件の山火事が発生した。そのほとんどはすでに鎮火しているが、この夏に高温で乾燥した気候が続けば、さらに火災が発生する可能性がある。

今月1日、ピックアップトラックの荷台から巨大な気球が打ち上げられた。気球は成層圏(地上から高さ約6~50キロの領域)まで浮遊し、フォートコリンズ近郊のアレクサンダー山で発生した火災の高解像度写真を撮影し、地上の温度を測定することに成功した。

高高度気球の開発を手掛ける新興企業アーバンスカイは、気球の打ち上げを何カ月も前から計画していた。同社は気球を使って低コストで山火事を検知、追跡し、最終的には山火事の拡大を防ぐことを目指している。商用化に向けた実証実験の一環として、向こう4週間以内にいくつか気球が打ち上げられる予定で、今回が初の打ち上げとなった。

「主な目標は火災情報と山火事の早期検知」と、同社の共同創業者で最高技術責任者(CTO)のジャレッド・ライデック氏はCNNに語った。

気球は赤外線センサーを搭載し、地上の植生密度と水分含有量をマッピングする。データはリアルタイムで処理され、乾雷やその他の発火源に関する情報と組み合わせて、特定エリアの「リスクスコア」を算出し、火災が発生しそうな場所を特定する。

気球はピックアップトラックの後部から10分以内に打ち上げることが出来る/Urban Sky
気球はピックアップトラックの後部から10分以内に打ち上げることが出来る/Urban Sky

また、別のセンサーが地面の熱を測定する。同氏によれば、温度は火災を早期検知するうえで非常に重要だという。現在、大半の火災は目に見える煙の存在によってのみ検知されるため、その煙が消えかかった無害なものなのか、これから燃え広がろうとしている高温のものなのかは判断ができない。

データはすべて、衛星回線を通じて地上のコンピューターに送信され、インターネットに接続できれば誰でもアクセス可能だ。データは今後、火災情報システムにアップロードされ、数十秒から数分以内に、消防士を含めアクセス可能なすべての人がデータを利用できるようになる予定だ。

従来の追跡方法

山火事の追跡には、すでにさまざまな技術が使われている。外気圏を周回する人工衛星も画像を提供しているが、その多くはアーバンスカイの気球が撮影する画像よりもはるかに低画質だ。

人工衛星は常に周回しているため、山火事が発生した地域上空を通過できるのは1日1~2回なのに対し、気球は特定の地域上空から継続的に情報を送信できる。オペレーターは正確な気象計算によって気球の打ち上げ場所を特定。空中に上がった気球は、高度制御プロセスによって操縦され、あらゆる風の流れの間を上下に移動する。

気球のセンサーが捉えた8月1日の山火事の画像/Urban Sky
気球のセンサーが捉えた8月1日の山火事の画像/Urban Sky

山火事の空撮にはドローン(無人機)が使用されることもあるが、解像度は高いものの、スキャン速度は低い。

ライデック氏によれば、気球に最も近い市場競合相手は有人航空機だ。気球と同様の解像度でスキャン可能なうえ、迅速に地上もカバーできる。だが、火災現場の上空を飛行するのは危険が伴うだけでなく、山火事発生時は周辺に一時的な飛行制限区域が設けられることがよくある。

アーバンスカイは気球の価格をまだ設定していないが、できるだけ安価で使いやすいものにするという。気球は小型かつ軽量で、完全に膨らませると2台分の車庫ほどの大きさになり、最大で約2.7キロのペイロード(センサー、カメラ、小型コンピューター、無線モデムを含む)を搭載。丈夫で再利用可能な素材を使用し、一人で打ち上げることができる。向こう数カ月以内に商用化を目指すとしている。

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