エイズ母子感染の女児、事実上初の「治癒」 米国
(CNN) 米国の研究チームは3日、母親の胎内でエイズウイルス(HIV)に感染した米ミシシッピ州の2歳の女児が、出生直後からの抗ウイルス薬投与の結果、初めて「機能的な治癒」に至ったと発表した。
機能的な治癒とは、ウイルスが通常の血液検査では検出されないレベルにまで抑制された状態を指す。ウイルスが完全に消滅したわけではないものの、生涯にわたって治療を受け続ける必要はなくなるという。
この症例は米アトランタで開かれたレトロウイルス・日和見感染学会で発表された。
女児の母親は出産の直前になってHIVの陽性反応が確認され、母子感染を防ぐための治療も受けていなかった。
治療に当たったミシシッピ大学医療センターのHIV専門医ハナ・ゲイ医師は、感染のリスクが高いと判断し、出生後約30時間で女児に抗ウイルス薬の投与を開始。治療には3種類の薬剤を使った。女児は数日のうちに、HIV感染が確認された。
治療の結果、女児の血中のウイルスは減少し続け、治療開始から29日以内に、通常の血液検査では検出できないレベルに到達した。
抗ウイルス薬の投与は生後15カ月まで継続。その後、母親が何らかの理由で投薬を中止したが、医療関係者の介入で治療を再開したという。