海の酸性化「前例ないスピード」 過去3億年で最速か
(CNN) 海洋の酸性化が「前例のないスピード」で進んでおり、生態系を脅かしているという報告書を英大学の研究者らがまとめ、14日に発表した。18日にポーランドの首都ワルシャワで開かれている第19回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)に提出されるという。
報告書によれば、海洋の酸性化の原因は地球温暖化と同じく、化石燃料の使用などの人間の活動が生んだ二酸化炭素(CO2)だ。酸性化は過去3億年で最も速いペースで進んでいるとみられ、現在は産業革命前と比べ26%増の水準にある。2100年には170%増の水準に達する可能性があるという。
海は排出されるCO2の約4分の1を吸収していると報告書は指摘する。「海洋の酸性化が進めば、今のように大気中のCO2を吸収することはできなくなり、気候変動を和らげる役割を十分果たせなくなる」
またCO2の排出が減らず酸性化が進めば、海の生態系は大きな影響を受ける。「熱帯のサンゴ礁の減少は観光業、食糧安全保障や海岸線の保全に悪影響を与え、世界の多くの貧困層に打撃となる」と報告書は言う。「今後大気中のCO2濃度を抑制していくこと以外に、酸性化の緩和に向けた現実的な選択肢はない」
報告書の作成に参加した英ブリストル大学のダニエラ・シュミット氏は、酸性化により、種の多様性や養殖業、それに海に食糧や経済の基盤を置く国々は大きな影響を受けると語る。
「地球温暖化だけがCO2の問題なのではないことを理解してもらいたい」とシュミット氏は言う。「放置していい問題ではない。恐ろしい結果が待っているのだから」