「重力波」の観測に成功 アインシュタインが予言
研究チームではブラックホールの衝突を、5分の1秒間の「音」としてとらえている。重力波は音波とは異なるが、ジョージア工科大学のディアドリ・シューメーカー氏によれば、ブラックホール同士が接近して衝突する直前の周波数の高まりを、音として聞くことができるという。
LIGOは米ルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードに観測施設があり、「通過する重力波の極めて微小な振動も検知できる」。同プロジェクトはカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学の研究チームが中心となり、全米科学財団(NSF)の助成を受けている。
重力波はアインシュタインが1915年に発表した一般相対性理論の中で予言していた。時空の概念は同理論で打ち出され、重力波はその時空のゆがみをさす。
しかしそれを検出するためには、ブラックホールの衝突のような巨大な出来事が必要だった。これまでブラックホールそのものを直接観測することはできていなかったが、シューメーカー氏は「今回初めて、2つのブラックホールの合体をとらえることができた」と評価。「これまで宇宙を見ることはできても、聞くことはできなかった。今回、かつて聞こえなかった宇宙を聞くことができるようになり、(電磁スペクトルとは)違う領域が開けた。これまでに観測したどんな現象とも異なる」と説明する。
ライツ氏は、「我々は重力波天文学という宇宙の窓を開いた」と話している。